決定を「決定ではない」と説明
9月1日号に例年どおりの募集日程を載せないことは決めた一方で、「保留であり、何かを決定したわけではない」と説明しました。
令和8年7月16日 流山市議会 教育福祉委員会
閉会中の継続審査として再付託された議案第37号「流山市幼児教育支援センター及び附属幼稚園の設置等に関する条例の一部を改正する条例の制定について」を、発言者ごとに表示します。
このページは流山市議会の正式会議録ではありません。 自動文字起こしを全編確認し、話者推定、誤変換の修正、句読点・段落の整理を行った非公式記録です。原音を参照できず文脈から補完した箇所もあるため、厳密な引用には今後公開される公式会議録との照合が必要です。
今回の参加メンバー
今回の論点
今回の質疑では、棄権した委員や廃園に反対した委員を中心に、行政側の説明・手続き・代替策の弱さが繰り返し問われました。主な問題点を一括で整理すると、次のようになります。
行政側が再三にわたって「ホームページの充実」などの努力をしてきたと説明している、その対象として確認できるページが 流山市幼児教育支援センター附属幼稚園のページ です。ページ自体を作った人は努力したのかもしれません。ただ、何度も言うけれども、このホームページで許されるのは阿部寛さんだけです。
問題は、ホームページが存在するかどうかではなく、園児募集のために必要な家庭へ届く内容・導線・更新頻度・魅力の伝え方になっていたかです。
青野委員は、地域へ「これからも施設がこの地域にこういうものができるんだ、こういうお子さんたちが通ってくるんだ」と説明する必要がある、という趣旨の発言をしています。 しかし行政側は、廃園後の施設活用も取り壊しも未定と答弁しています。
つまり、活用法が決まっているかのように聞こえるこの発言は、何を前提にしているのか確認が必要です。本文中にも「!! 確認」として注釈を付けています。
幼稚園設置基準は「30人以下」という上限基準であり、「21人未満なら廃園」という下限基準ではありません。文科省の資料でも、令和6年度時点で全国の幼稚園学級のうち1〜15人の学級は31.0%あります。
さらに、文科省掲載の 全国幼児教育研究協会「幼児集団の形成過程と協同性の育ちに関する研究」 では、人数が多いほど一律によいとは整理されていません。担任している学級の幼児の発達や学びについては、学級人数による大きな違いは見られない一方で、おおむね学級の人数が少ないほうが幼児の発達や学びを肯定的に捉えている傾向が示されています。
同研究では、学級人数が増えるにつれて「個に応じた援助」の評価は下がり、「協同性の援助」は一定規模で高まった後に横ばいになる、と整理されています。3歳では16〜20人、4・5歳では21〜25人で、個別援助と協同性の援助が比較的調和する傾向があるという話であり、「21人未満なら教育上不適切」「だから廃園」という法令上の下限基準ではありません。
少人数であることを直ちに廃園理由にするなら、廃園以外の改善策と比較した資料が必要です。
行政側の7億1,000万円試算は、給食関係で調理所・設備5億2,000万円を含めた直営前提の概算です。保護者や議員が当然に大規模な調理場新設を求めているわけではなく、「できる範囲で改善する」選択肢も当然あり得ます。
外部搬入、弁当給食、既存施設活用、可動式パーティションや動線分離、段階導入など、より軽い選択肢との比較や実見積もりを示さないまま高額試算だけを出すと、「存続・改善には7億円規模が必須」であるかのような印象を与え、市民の判断を誤らせるおそれがあります。
私立園の受け入れ人数増や補助制度は一定の材料ですが、希望園で断られた人、相談につながる前に諦めた人、通園距離や支援内容の問題は別に確認が必要です。
附属幼稚園が担ってきた要配慮児支援、療育連携、実践研究機能が、どの園・どの職員配置・どの予算で引き継がれるのかが論点です。
教育長は、廃園以外の選択肢について「議論はしましたが、記録はない」と答弁しています。公共施設廃止の判断で、存続・転換・段階改善の比較検討記録がないことは、後から検証しにくい大きな問題です。
7月16日の主な出席者・話者









7月16日の主な内容
廃園の必要性・妥当性、附属幼稚園が担ってきた役割、廃園後の体制、子ども・保護者への影響、流山市の幼児教育の将来像、施設の活用などを、今後の審査で確認する論点として話し合いました。
教育委員会は、継続審査中は募集そのものを停止するのではなく、審査結果が出るまで募集の告知を保留する考えを説明しました。可決・否決・継続審査となった場合の扱いや、保護者・議員への説明時期について質疑が続きました。
教育長の「議会事務局に相談して決定した」と受け取れる答弁について、議会事務局長がその事実を明確に否定しました。その後、教育長が該当部分を訂正しています。また「修正案を提出する」とした発言も、委員長の指摘を受けて訂正されました。
このサイトでは、この場で事実関係を明確にし、責任の所在を曖昧にしなかった稲澤玄哉議会事務局長の発言を、今回のMVPとして紹介しています。
あわせて、「修正案を提出する」とした手続の説明をその場で正し、教育長の訂正につなげた海老原功一委員長の発言を、今回のサブMVPとしています。
幼児教育の専門家、私立幼稚園・保育園関係者、保護者などから意見を聴く案が出されました。この日は参考人招致の実施決定までは行わず、次回までに候補者と質問内容を検討することになりました。
整文版の閉会部分では、次回委員会を7月24日午後4時から開催すると委員長が述べています。公式日程が公開された場合は、公式情報と併せて確認してください。
7月16日委員会の総括
今回確認されたのは、単なる説明不足や一つの答弁の混乱ではありません。 子どもの入園機会に影響する方針を実質的に決めながら、その決定主体、時期、根拠、記録を委員会で明確に示せず、判断過程の説明を議会事務局から否定されて訂正する事態まで起きました。行政運営上、極めて問題の大きい状態です。
以下は、このページに掲載している7月16日の文字起こしで確認できる答弁と質疑を基に、確認できた事実と、そこから導かれる行政運営上の評価を分けて整理したものです。
9月1日号に例年どおりの募集日程を載せないことは決めた一方で、「保留であり、何かを決定したわけではない」と説明しました。
市長らと相談したとの説明はありましたが、最終決定者、決定日、会議名、根拠、正式な記録は委員会で特定されませんでした。
教育長が判断過程で議会事務局に相談したと説明した後、議会事務局長が事実を否定し、教育長が答弁を訂正しました。
廃園議案を提出した行政側が、募集時期に影響する継続審査を想定しておらず、その場合の募集対応を事前に十分準備していませんでした。
可決でも否決でも募集するとした5歳児についても、告知を保留する合理性や、影響を抑える代替案が十分に示されませんでした。
保護者に混乱や誤解があると把握しながら、議会への説明を優先し、当事者が質問できる説明の場や文書通知の準備を示しませんでした。
確認できた事実: 南学校教育部長は、例年どおりの募集日程を9月1日号で公表しないことは「現時点で決めています」と答弁しました。一方、吉田教育長はその後、「保留の段階であり、何かを決定したということではない」と説明しています。
行政運営上の評価: 「募集停止」ではなく「告知の保留」と呼んでも、入園を検討している家庭へ例年の時期に募集情報が届かなくなるという実際の影響は変わりません。掲載しないという選択をした以上、それ自体が行政の判断です。実際の効果を生じさせる方針を決めながら、名称を理由に「決定ではない」と説明することは、責任の所在と検証の入口を曖昧にします。
確認できた事実: 教育長は、市長や関係各所と相談し、日々の意見交換の中で決めたと説明しました。しかし具体的な日付を示す資料は持ち合わせていないとし、学校教育部長も方針を知った日を答えられませんでした。教育委員会会議の議案ではなく、正式な書類として諮るものでもないとの答弁もありました。政策法務室に法的な問題がないか確認したとの説明はありましたが、募集日程を掲載しない判断を、誰のどの権限で決定するのかは明確になりませんでした。
これらは形式だけの問題ではありません。市民生活に影響する判断を後から検証し、問題があれば責任を明らかにするために必要な、行政意思決定の基本情報です。
確認できた事実: 教育長は、継続審査中の手続について議会事務局や関係各所に相談し、市長にも相談した上で決めたと答弁しました。これに対し、議会事務局長は「その事実はない」と明確に否定し、園児募集の取扱いの決定に議会事務局が関わることはないと説明しました。教育長は直後に該当部分を訂正しています。
行政運営上の評価: これは、単なる言い間違いだけで済ませられる問題ではありません。入園機会に影響する重要な判断について、教育委員会の責任者が、判断に誰が関わったのかを正確に説明できていなかったことを意味します。決定過程の記録が明確であれば起きにくい混乱であり、意思決定の記録性と説明責任の両方に問題を示しています。
確認できた事実: 教育長は、委員会で継続審査の提案が否決されたため、本会議で継続審査になることは想定外だったと説明しました。しかし、廃園議案を提出したのは行政側であり、9月に翌年度の募集告知が予定されていることも、当初から把握できる日程でした。
議案提出前には、少なくとも次の事態を想定し、それぞれの募集・周知手順を準備しておく必要がありました。
行政側は、継続審査後も議案の変更を検討していないと答弁し、その一方で、入園希望者への影響を理由に議会へ早急な結論を求めました。このため、行政側の準備不足によって生じた期限上の問題を、議会の審査期間の問題であるかのように見せかねない構図になっています。議会には必要な資料と答弁を基に審査する責任があり、行政側の準備不足を理由に結論を急がせることは適切ではありません。
確認できた事実: 行政側は、議案が可決された場合でも否決された場合でも、5歳児は募集すると説明しています。それにもかかわらず、継続審査中は5歳児を含む新年度の一斉募集の告知を保留するとしました。理由として「混乱を避ける」ことが挙げられましたが、5歳児まで告知しない必要性は、質疑の中で十分に説明されませんでした。
影響を抑える方法としては、少なくとも次のような選択肢を比較する余地があります。
これらの案を比較した資料や説明は、この委員会では示されませんでした。募集情報を出さなければ、入園を検討する家庭が他園を選び、応募者が減る可能性があります。その減少を将来「需要がない」という判断材料に使えば、行政自身の対応が園児数の減少を招く構造になります。意図的に園児を減らそうとしていると断定することはできませんが、少なくとも、そのような結果を生みかねない対応になっていることは明確なリスクです。
確認できた事実: 教育長は、保護者の中にも誤解している人がいると園長から聞き、早く説明した方がよいと話していた一方、まず議会に説明しなければ議会軽視と指摘される可能性があるため、教育福祉委員会で先に説明したと答弁しました。行政側は委員会を、公開されている説明の場としても挙げています。
行政運営上の評価: 委員会は、議員が行政を質疑する場です。保護者が自由に質問し、行政と直接対話する説明会の代わりにはなりません。議会への説明と保護者への説明は両立します。委員会後に速やかに文書を出す、説明会の日程をあらかじめ設定する、質問窓口を設けるといった準備も可能でした。しかし、その具体的な準備は答弁で示されませんでした。情報の混乱を把握しながら当事者への直接説明を後回しにしたことは、情報提供と当事者対応の不備です。
これらが同時に起きたことは、担当者間の連携不足だけでは説明できません。行政の意思決定に必要な透明性、記録性、責任の所在、議会への説明、当事者への周知が、十分に機能していなかったことを示しています。
違法性を断定しなくても、行政としてかなりまずい状態であり、市民が重大な問題として受け止めるべき行政運営だったと評価せざるを得ません。
今回の委員会に残った一つの救い
今回の問題提起は、廃園に反対する委員だけによるものではありません。6月17日の採決で棄権した委員からも、継続審査を想定しなかったこと、判断根拠が不明確なこと、施行時期の変更を検討していないことへの疑問が出されました。また、採決に加わらない委員長からも、答弁が曖昧で、議会に責任を転嫁しているように見えるとの厳しい指摘がありました。
5歳児まで告知を保留する理由、誰が決めたのか、保護者への説明が足りないこと、意思決定の経緯が不透明であることについて、立場の異なる複数の議員がそれぞれの角度から確認を求めています。全委員が完全に同じ評価を示したという意味ではありませんが、質疑の流れ全体からは、行政の進め方に問題があるという認識が、委員会内で一定程度共有されていたと読み取れます。
今回の行政対応は、意思決定の透明性や説明責任という点で、行政として非常に問題の大きいものでした。一方で、廃園への賛否やこれまでの立場を超え、複数の議員が行政の進め方に疑問を示したことは数少ない救いです。行政の判断をそのまま追認せず、議会が監視機能を果たそうとしていることが確認できた委員会でもありました。
これは、委員会が違法性を認定した、または全議員が同一の結論に達したという評価ではありません。