令和8年8月19日 流山市議会 教育福祉委員会

8月19日教育福祉委員会・全文記録と行政答弁の検証

附属幼稚園の廃園条例案をめぐる全105発言を残し、廃園理由の変遷、費用、調査、代替策、行政の意思決定手続を資料と照合します。

このページは流山市議会の正式会議録ではありません。 音声認識原稿と公開資料・映像情報を照合して校訂した非公式記録です。発言の趣旨を変えない範囲で誤認識、重複、固有名詞、句読点などを修正し、欠落部分は聞き取りにより補っています。厳密な引用には、今後公開される公式会議録との照合が必要です。

日時8月19日(水)
案件議案第37号・継続審査
出席委員7名・全員出席
次回委員会8月25日(火)全員協議会終了後

8月19日の主な出席委員・話者

海老原功一の写真
海老原功一
委員長
継続審査に賛成した議員
植田和子の写真
植田和子
副委員長
継続審査に賛成した議員
うた桜子の写真
うた桜子
委員
継続審査に賛成した議員
矢口輝美の写真
矢口輝美
委員
継続審査に賛成した議員
戸辺滋の写真
戸辺滋
委員
継続審査に賛成した議員
笠原久恵の写真
笠原久恵
委員
廃園賛成派議員
青野直の写真
青野直
委員・出席
廃園賛成派議員
実質的な個別質疑なし
清水大の写真
清水大
傍聴議員
傍聴議員
吉田瑞穂教育長の写真
吉田瑞穂
教育長
行政側
南暁男学校教育部長の写真
南暁男
学校教育部長
行政側
𠮷川
𠮷川正一
学校教育課長
行政側
長谷部
長谷部敬子
幼児教育支援センター所長
行政側
遠藤
遠藤
保育課長
行政側

立場表示について:7月16日ページと同じ分類を引き継いでいます。8月19日に条例案の採決が行われたという意味ではありません。
教育長について:校訂版の発言記録では個別発言を確認できませんが、既存ページと同じ人物サムネイルを掲載しています。

8月19日の主な内容

執行部が7ページの追加資料を配付追加説明

執行部は、園児数・適正規模、3年保育化・給食・送迎の費用試算、認定こども園化、要配慮児支援、施設活用、幼児教育支援センターの体制をまとめた資料を説明しました。

「決定」とした跡地利用の答弁を撤回訂正

南学校教育部長は、建物を残し子どものために使うことを「決定」と答弁しましたが、笠原委員の指摘後、条例案の可否が決まっていないため「予定」と訂正・撤回しました。

適正規模と代替策の試算を質疑論点

植田、矢口、うた、戸辺各委員は、人数を適正規模とする根拠、参考人意見との関係、3年保育・給食・送迎・認定こども園化を含む代替策の検討について質問しました。

支援センターの役割と保護者との関係を確認支援

清水大議員は、附属幼稚園の保護者から聞いた声を踏まえて支援センターの関わりを質問。長谷部所長は、行事参加、巡回相談、保護者相談への対応を説明しました。

採決はせず、8月25日に資料請求を議決予定次回

この日は質疑を終え、条例案の審査は次回以降も継続することを確認しました。正副委員長が整理中の執行部への資料請求は、8月25日の委員会で正式に議決する予定です。

1分で読む

8月19日の説明で、何が問題として残ったのか

この日、執行部は廃園条例案について7ページの追加資料を示しました。個々の数字だけでなく、廃園を決めるまでの比較検討が条例提出前に終わっていたのかが、最も大きな検証点です。

  1. 廃園理由の重心が変わっている

    2023年は園児数と運営費が説明の中心でしたが、2026年8月19日は「適正規模を満たせず、目指す教育ができないこと」が最大の理由とされました。費用も理由から外しておらず、判断基準と重み付けが見えません。

  2. 現在の12人は、市が維持してきた条件の下での人数

    2年保育、給食なし、送迎なし、3歳児受入れなしという条件を変えずに、利用者が少ないと評価しています。改善策を実施した場合の需要を確かめないまま、需要が戻らないと結論づけています。

  3. 「1人425万4,000円」は、廃園で減る金額ではない

    令和8年度予算5,104万2,000円を園児12人で割った平均です。廃園後も残る施設費や支援センター経費、新たな支援費を差し引いた「純削減額」は示されていません。

  4. 調査の対象と、結論の範囲が合っていない

    満足度は在園者への調査、「受入れ困難事例なし」は幼児教育支援センターが把握した限定的な相談案件です。直接相談、相談前の断念、退園・転園まで含む市内全体の調査ではありません。

  5. 代替体制は未完成のまま

    心理士派遣や職員増は今後の予算要望、施設利用は「決定」から「予定」へ訂正されました。未確定の対策を前提に「廃園しても問題ない」と結論づけられるかが問われます。

検証の見方:このページでは、事実・整合性(F)、証拠不足(E)、調査範囲を超えた一般化(G)、因果関係(C)、手続・ガバナンス(P)、政策判断(J)を分けて記載します。政策への批判と、個人の故意や違法性の断定は区別します。

8月19日の全文記録全105発言・発言者別に検索できます

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行政答弁の検証

全文を踏まえ、判断の根拠と順序を確かめる

𠮷川学校教育課長の冒頭説明は、一文ずつ細かく区切らず、内容のまとまりに沿って7つの論点で読みます。

𠮷川課長の冒頭説明

説明を7つの論点で読む

挨拶、資料ページの案内、制度の一般説明には注記を付けず、廃園の結論を支える部分だけを検証します。

1園児減少と「幼稚園需要が少ない」という説明市が維持した利用条件を含めて需要を測ったか

「こうした状況から、本市の特徴として、保育園需要が高く、幼稚園需要が少ないと言えます。」

𠮷川学校教育課長の冒頭説明へ

保育所利用の増加や私立幼稚園の定員充足率低下は確認できます。ただし、それだけで附属幼稚園への需要が自然に消えたとは言えません。附属幼稚園は2年保育、給食なし、送迎なし、3歳児受入れなしという条件を市が維持してきました。

→ この説明で残る問題現行条件のままの利用者数と、条件を改善した場合の潜在需要が区別されていません。市が2年保育、給食なし、送迎なしという利用しにくい条件を維持した影響を外したまま、利用者減少を自然な需要減として扱っています。

2「適正規模」と「目指す教育ができない」望ましい人数の目安を、教育不能の線引きにしていないか

「望ましいとされている1学級当たり3歳児20人前後、4、5歳児21人から30人の適正規模を満たしていないことで、目指す幼稚園教育ができないことです。」

𠮷川学校教育課長の冒頭説明へ

文部科学省が掲載する研究は、幼児集団の望ましい規模を考える材料です。しかし、21人未満では幼稚園教育が成立しないという法的な下限ではありません。同日の質疑でも、行政はこの人数に法的拘束力がないことを認めています。

行政自身、少人数には一人ひとりへ行き届いた教育ができる意義があると説明しています。それにもかかわらず、大規模小学校への接続や集団経験だけを重く見て、少人数の利点や要配慮児にとっての環境を同じ基準で比較していません。

→ この説明で残る問題「望ましい人数」と「その人数でなければ教育できない」は別です。研究が示す範囲を超えて、廃園の結論へ結びつけています。

33年保育・給食・送迎と費用試算最大規模の案と現実的な案を同じ条件で比べたか

「A案の直営の調理場を建設する場合は、約5億4,000万円」「D案の弁当給食が現実的な選択肢」

𠮷川学校教育課長の冒頭説明へ

5億4,000万円は給食全般の費用ではなく、園内に直営調理場を建設する一案です。弁当給食はすでに月2〜3回実施しており、1学年20人、3学年60人・年200日なら、年間420万〜594万円が単純な目安になります。

3年保育化は増築約1億7,000万円と部分改修5,000万〜6,000万円、送迎バスは800万円とされましたが、算定内訳、費用が初期か年間か、人数、期間、運行条件が十分に示されていません。

→ この説明で残る問題改善策を一度も実施していないのに、「実施しても園児数は増えない」と結論づけています。しかも、直営調理場のような最も高額な案を強調する一方、弁当給食、既存室の利用、限定的な送迎といった小さく始められる案を同じ条件で比べていません。

4浦安市・習志野市との比較人口規模だけで制度効果を判断できるか

「浦安市と習志野市は、本市と人口規模が同規模の自治体であるため、比較の対象としました。」

𠮷川学校教育課長の冒頭説明へ

総人口が近くても、就学前人口、公私立園の構成、保育時間、給食、送迎、料金、立地、政策目的が違えば単純比較はできません。資料上、流山市の0〜5歳人口は比較2市のおおむね2倍で、人口総数だけをそろえた比較には限界があります。

→ この説明で残る問題他市で園児数が減ったという相関から、流山市で認定こども園化しても需要が増えないという因果関係までは導けません。

5要配慮児の受入れ、満足度、相談実績現在の成功例と、市内全体の受皿を区別する

「現在のところ、幼児教育支援センターで実施している就園相談において、私立幼稚園への入園を希望した場合における受入れ困難事例はありません。」

𠮷川学校教育課長の冒頭説明へ

市内私立幼稚園の要配慮児受入れ161人、要配慮児保護者68人の91.2%、回答者全体534人の96.2%という数字は、現在通えている家庭の経験を示す資料です。支援の質、入園可能性、市内全体の受皿を直接測ったものではありません。

センターが示した相談実績は、令和6年度9件、令和7年度3件、令和8年度1件の計13件です。母集団が限定されており、私立園への直接相談、相談前の断念、入園後の退園・転園は含まれません。

→ 正確に言える範囲幼児教育支援センターが把握した限定的な就園相談案件では、私立幼稚園への入園を希望した相談者について、同センターが最終的に受入れ困難と分類した事例を把握していない。ただし、市内私立園への直接相談、相談前の断念、入園後の退園・転園等を網羅した調査ではありません。

6附属幼稚園の機能を支援センターへ移す説明連携体制と、直接の実践研究の場は同じか

「幼児教育支援センターが中心となり、連携する園と小学校のグルーピングを行い」「私立幼稚園への心理士の派遣や、幼児教育支援センター職員の増員を予算要望」

𠮷川学校教育課長の冒頭説明へ

園・学校をつなぐネットワークは重要です。一方、附属幼稚園が担ってきた、同じ組織内で実践し、観察し、改善し、発信する場と、外部園との連携は同じ機能ではありません。移管先、予算、人員、成果指標が決まっていないため、支援センターが附属幼稚園の機能を引き継げたとは言えません。

→ この説明で残る問題心理士派遣や職員増は今後の予算要望です。施設活用も委員会中に「決定」から「予定」へ訂正されました。まだ確定していない代替策を、完成済みの体制として扱うことはできません。

7「廃園しても問題ない」という最終結論前提が未確定のまま、不可逆な判断をしてよいか

「令和9年度末で幼児教育支援センター附属幼稚園を廃園しても問題ないと考えます。」

𠮷川学校教育課長の冒頭説明へ

この結論は、適正規模の解釈、改善後の需要予測、私立園の受入れ調査、代替機能、費用の純削減額が成立していることを前提にしています。しかし、その複数が未調査、限定調査、予算要望、予定の段階です。

→ 検証上の結論外形的には、結論決定後に根拠を補強しているように見える政策形成です。実施可能な代替案を試し、評価し、その後に廃園の可否を判断するほうが、不可逆な決定に対する安全性は高くなります。

説明の整合性

廃園理由はどう変わってきたのか

理由が複数あること自体ではなく、優先順位と判断基準がいつ決まったのかを確認します。

  1. 実践・研究の拠点として開園

    附属幼稚園は、幼児教育の実践研究、幼保小連携、要配慮児支援などを担う市の拠点として位置づけられました。

    出発点となる設置目的
  2. 園児数減少と運営費が廃園方針の中心

    園児22人、運営費5,464万円、1人当たり約248万円が示されました。同じ年の説明では、教育長が「費用より園児数」を重視する趣旨へ説明の重心を移しています。

    重点の移動
  3. 私立園の過去の受入れ限界と、公立園の受皿機能を説明

    北部地区タウンミーティングでは、私立園で受け入れられなかった子どもを附属幼稚園が受け止めた経緯が説明されました。

    現在の「受入れ困難なし」と矛盾
  4. 廃園条例を提出、その後も比較検討を継続

    条例提出時点で代替案、需要調査、費用の比較がどこまで完了していたのかが問題になります。

    後から追加された根拠
  5. 「適正規模」が最大の理由に

    適正規模を満たせず教育できないことを最大の理由としつつ、運営費も理由から除外していないと答弁。3年保育、給食、送迎、他市比較、調査、代替体制の詳細が追加されました。

    重点変更・未解決の前提

→ 時系列から分かること説明の中心は、運営費と園児数から、園児数、適正規模へと移っています。しかし、理由を変更したものとして再検討した形跡はなく、結論だけが維持されています。これは判断基準が安定していないという問題です。

12項目過去説明と8月19日答弁の12の不一致直接の訂正、重点変更、後付け根拠、調査範囲、未確定事項を区別する

説明が変わったことを、すべて直ちに虚偽とは扱いません。新しい調査で説明が追加・修正されることはあります。問題は、理由を変えた根拠、再評価の手続、結論を変える条件が示されないまま、廃園という結論だけが維持されていることです。

1 実践研究拠点から調整組織へ設置時は、附属園で実践・観察・検証し市内へ還元する制度でした。地域グループ方式が同じ機能を果たせるかは検証されておらず、役割を引き継げるという説明は成立していません。
2 最大理由の移動令和5年は運営費と園児数、教育長答弁では園児数、8月19日は適正規模が最大理由とされました。判断基準を変えながら結論だけを維持しています。
3 総額減少と平均額上昇会計範囲が同じなら、総額は5,464万円から5,104万2,000円へ約6.6%減っています。上がったのは主に、園児数減少で分母が小さくなった1人当たり平均額です。
4 過去の不受入れと「困難なし」市は過去に、私立で難しく附属園が受け入れた事例を説明しています。8月19日の「受入れ困難なし」はセンター経由の相談だけであり、市内全体についての結論ではありません。
5 代替体制は今も未完成令和5年には「これから具体的に検討」、8月19日にも心理士・職員増は予算要望、最終報告は完成前、システムは100%ではないと答弁しています。それでも「体制整備が図られた」と結論づけています。
6 増えない/増えたら足りない改善しても園児は増えないとする一方、間仕切り案は人数が増えたとき教室が足りないとして退けました。場面によって都合のよい人数予測を使い分けています。
7 流山市で効果を試していない他市の観察は参考資料ですが、流山市での効果検証ではありません。条件付き募集や短期試行を行わず、「実施しても増えない」とするのは推測です。
8 施設活用の「決定」を撤回財産区分、所管、用途、予算が未確定のまま「決定」と答弁し、指摘後に「予定」へ訂正しました。確定していない施設利用を廃園後の安心材料にはできません。
9 専門家の評価対象が違う示された大学教授の助言は架け橋期カリキュラムへの助言です。廃園、適正規模、安全網、費用対効果を評価した意見ではなく、廃園判断への専門的なお墨付きにはなりません。
10 募集を抑え、低利用を理由にする循環公立園の積極募集が私立の利益を脅かすとして抑制し、その結果の低利用を廃園理由にしています。市民の選択肢より私立園への配慮を優先した政策判断です。
11 少人数を評価しながら教育不能とする行政自身が少人数のきめ細かな教育と附属園の実践を評価しています。一方で、現在の人数によって具体的に何ができなかったかを示さず、「目指す教育ができない」と結論づけています。
12 未完成のまま「問題ない」予算要望、報告書未完成、施設用途未定、財産区分未確認、市内移行事例未把握、回答率未提示などを認めながら、廃園しても問題ないと結論づけています。

一番の問題前と違う言葉を使ったこと自体ではありません。どの証拠をどの重みで評価し、何が変わったため判断理由を組み替えたのかを示さず、同じ結論だけを維持していることです。

評価表令和5年と令和8年で、判断の根拠が変わっている後から根拠が増えても、廃園という結論だけは変わっていない
評価項目令和5年判断時令和8年再整理時現在の問題
園児数実績を提示実績と将来見込み条件を改善した場合の人数を調べず、現状の人数を需要の上限にしている
適正規模正式基準の有無が不明最大の理由法的な下限ではない人数を、教育ができない境界線として使っている
総運営費5,464万円5,104万2,000円会計科目の範囲をそろえず、年度間の増減を正確に比べられない
1人当たり費用約248万円425万4,000円園児減少で分母が小さくなった平均額を、子ども1人の追加費用のように扱っている
廃園で消える費用未提示未提示廃園後も残る建物費や支援費を引かず、純削減額を出していない
代替施策費今後検討予算要望・検討金額、財源、開始時期が未定の施策を、代替できる根拠にしている
要配慮児の最終保障私立支援を検討センター相談等私立園で受入れが成立しない場合の最終的な受皿がない
3年保育等の効果未実施他市から推定流山市では試さず、条件の違う他市の結果だけで効果を否定している
研究機能の代替今後見直し地域グループ方式実践園を持つ方式と外部園を結ぶ方式を同じ機能として扱っている
施設活用未定予定・検討用途、所管、手続、予算が未定なのに、活用が決まったように説明した
判断を変える条件未提示未提示どの事実が出ても廃園を見直す条件がなく、結論を検証できない

→ ここがおかしい令和5年の廃園方針の時点では、今回示された比較や調査の多くがそろっていませんでした。その後に理由が追加されても結論は一度も白紙に戻されておらず、比較して結論を選んだのではなく、決めた結論に根拠を足しているように見えます。

費用の検証

「1人425万円」が、その子に追加でかかる費用ではない

公式予算で確認できる費用、人数で変わる費用、廃園後も残る費用を分けます。

→ 先に結論5,104万2,000円を12人で割る計算は、現在の園全体を12人で支える平均額としては合っています。しかし、その金額が「子ども1人を教育するたびに425万円ずつ増える」という意味ではありません。また、5,104万2,000円がそのまま廃園による削減額になるわけでもありません。

予算5,104万2,000円の中身支援センターは別予算だった
令和8年度当初予算金額主な内容
附属幼稚園の一般職人件費2,738万1,000円正規職員の給与・手当・共済費
幼稚園管理運営事業2,366万1,000円会計年度任用職員、光熱水費、修繕、委託、教材・備品など
附属幼稚園の合計5,104万2,000円市が12人で割った会計範囲
幼児教育支援センター運営事業1,491万6,000円上の5,104万2,000円とは別枠

附属幼稚園の人件費は、正規職員2,738万1,000円と会計年度任用職員等1,681万8,000円を合わせて4,419万9,000円です。園全体の86.6%を占めます。これは教育を支える必要な費用ですが、園児が1人増えるたびに同じ割合で増える費用ではありません。

支援センターを5,104万2,000円から差し引く計算はできません。公式予算では、支援センターの1,491万6,000円は初めから別の事業です。ここは推定ではなく、予算表で確認できる区分です。

算式見るべき費用は三つある平均額、追加費用、廃園による純削減額
現在の平均費用 = 園全体の費用 ÷ 現在の園児数
園児が増えたときの追加費用 = 追加教材・検査・行事・給食・送迎 + 定員を超えたときの追加人員
廃園による純削減額 = なくせる幼稚園費用 − 残る建物費 − 支援センター等の増額 − 私立園支援・移行費

市の予算書は園全体の会計を示しており、教材や検査などのうち「園児が1人増えたときだけ増える分」を分離していません。したがって、現資料から子ども1人の追加費用を正確に出すことはできません。固定費、人数に応じて増減する費用、廃園後も残る費用が分かれていない以上、1人425万4,000円を廃園の財政効果として使うのは不適切です。

残る費用支援センターを残し、機能を増やす場合現行額と増額幅を分けた感度試算

令和8年度の支援センター予算は1,491万6,000円です。廃園後も存続し、心理士派遣や職員増を行う方針ですが、その増額予算はまだ示されていません。そこで、現行額から25%、50%、100%増えた場合だけを仮定します。

支援センターの仮定年間予算現行からの増額5,104万2,000円から増額分だけを引いた上限
現行と同額1,491万6,000円0円5,104万2,000円
25%増1,864万5,000円372万9,000円4,731万3,000円
50%増2,237万4,000円745万8,000円4,358万4,000円
100%増2,983万2,000円1,491万6,000円3,612万6,000円

この表の25%、50%、100%は市の計画ではなく、増額幅が未提示のための感度試算です。右端も削減額の上限にすぎません。ここには廃園後も使う建物の光熱水費・修繕・警備、私立園支援、移行費が入っていないため、実際の純削減額はさらに小さくなります。

3年保育毎年20人が入園し、3学年60人になった場合園の規模に合わせた上限で費用を計算する

この園の規模を最大60人と考え、3年保育で毎年20人ずつ入園する前提にします。初年度は1学年20人、2年目は2学年40人、3学年がそろう3年目以降は60人です。現在の年間予算5,104万2,000円を基礎に、3学年がそろった場合を計算すると次のようになります。

20人/学年 × 3学年 = 60人
60人時の想定年間費用1人当たり計算式
現行費用だけ5,104万2,000円85万700円5,104万2,000円 ÷ 60人
部分改修5,000万〜6,000万円を20年で均す5,354万2,000〜5,404万2,000円約89万2,400〜90万700円(5,104万2,000円+年250万〜300万円)÷ 60人
増築1億7,000万円を20年で均す5,954万2,000円約99万2,400円(5,104万2,000円+年850万円)÷ 60人

弁当給食を1食350〜495円、年200日と仮定すると、60人で年間420万〜594万円、1人当たり年間7万〜9万9,000円です。送迎バス800万円が年間費用なら、1人当たり約13万3,300円です。

給食・送迎まで含む場合年間総額1人当たり
現行費用+部分改修の年割額+弁当給食+送迎約6,574万2,000〜6,798万2,000円約109万5,700〜113万3,100円
現行費用+増築の年割額+弁当給食+送迎約7,174万2,000〜7,348万2,000円約119万5,700〜122万4,700円

この試算で固定している前提園の最大規模を60人、毎年の入園を20人、改修・増築費を20年間で単純に均すものとしています。教員、看護職、支援員、教材などの増減は市の説明にないため、この表は正式な費用ではなく、現在示されている金額から算出した規模感です。

推移総額は減り、1人当たり平均だけが上がった「運営費の高騰」が総額なのか分母減少なのかを分ける
年度園の予算総額園児数1人当たり平均
令和5年度5,464万円22人約248万3,636円
令和8年度5,104万2,000円12人425万3,500円
単純差359万8,000円減・約6.6%減10人減約176万9,864円増

会計科目の範囲に違いがある可能性は残りますが、公開数字の単純比較では総額は増えていません。園児数が22人から12人へ減ったため、固定費を割る分母が小さくなり、1人当たり平均が上がっています。

段階園児数5,104万2,000円を単純に割った平均計算式
現在12人425万3,500円5,104万2,000円 ÷ 12人
3年保育・初年度20人255万2,100円5,104万2,000円 ÷ 20人
3年保育・2年目40人127万6,050円5,104万2,000円 ÷ 40人
3年保育・3学年60人85万700円5,104万2,000円 ÷ 60人

数字の読み方この表は追加教員や給食費を含まない分母分析です。人数が増えれば必ずこの金額になるという予測ではありません。同じように、現在の425万4,000円も12人という分母を固定した平均であり、1人減るごとに同額が削減されるという数字ではありません。

積算建設・給食・送迎の金額は、比較条件がそろっていない最大案と小規模案、初期費用と年間費用が混在している

3年保育の1億7,000万円、5,000万~6,000万円

増築・改修面積、構造、仕様、数量、単価、設計監理、仮設、備品、消費税、見積作成者、価格時点、工期表が示されていません。独立昇降口などが法令上必須なのか、市の設計方針なのかも区別されていません。

部分改修5,000万~6,000万円を20年で単純に均すと年250万~300万円、1億7,000万円は年850万円です。これは正式な減価償却ではありませんが、複数年使う施設の初期投資を単年度の運営費と同列に見せないための規模感です。市の説明は耐用年数、利息、保全費、残存価値を含んでおらず、長期費用の比較になっていません。

給食の5億4,000万円

5億4,000万円は「給食を始めるために必要な費用」ではなく、直営調理場を新築する一案です。市自身が、1食350~495円の弁当給食を現実的とし、月2~3回実施しています。配送案も、遠藤保育課長は最終的に「できるかできないかといったら、できる」と答えています。

配送案には、保冷・保温容器、小型配送車または専用カート、配送人員、往復回数、温度記録、雨天動線、受渡し場所、年間費用の積算がありません。「大がかり」「課題がある」という説明だけで比較対象から外しており、実現可能性を費用で比べたことになっていません。

送迎バス800万円

初年度か年間か、契約期間、車両台数、定員、便数、ルート、停留地点、運転手・添乗員、燃料、保険、整備、車庫が不明です。既存の送迎保育ステーション補助が1号認定に使えないことは、幼稚園独自便、小型車、集合地点、通園費補助まで否定する理由ではありません。

800万円が年間費用なら、3学年60人で1人当たり約13万3,300円です。園の上限に合わせた利用想定と送迎利用者数を示さず、金額だけを示しても費用対効果は判断できません。

→ 金額だけでは比較になっていない工事の範囲や単価、給食と送迎の運用条件が分からないため、5億4,000万円、1億7,000万円、800万円という数字が妥当か検証できません。最大規模の案と小さく始める案を混ぜたままでは、「改善には高額な費用が必要」という印象だけが残ります。

10年現状維持・段階的改善・廃園を同じ期間で比べる廃園後の残存費と公共機能まで含む政策比較

案A 現行2年保育

園児数別の年間人件費、施設費、教材費、教育成果、受入れ機能、10年間総費用が計算されていません。

案B 段階的に改善

毎年20人が入園し、初年度20人、2年目40人、3学年60人になる現実的な前提で、初期費用と年間費用を比べていません。

案C 廃園

建物維持、用途変更、支援センター増員、心理士、私立園補助、相談・研修、移行費を含む10年間総費用がありません。

金額以外の比較

公立の最終受皿、実践研究の場、公立教員の知見、市民の選択肢、将来需要への復元可能性が評価されていません。

→ 財政効果はまだ計算できていない廃園後も建物と支援センターを残し、新しい支援策を実施する費用を引いた純削減額がありません。段階的改善案との10年間の総費用も比べていないため、1人425万4,000円だけでは廃園の財政効果を説明できません。

調査の検証

市の調査だけを、全体の答えにはできない

市が示した数字と、私が聞き取った声の両方を、調べた範囲に限って読みます。

私が障害のある子どもの保護者30人に行った調査ほぼ100%

「このような公立幼稚園があるなら入りたい」と回答しました。

附属幼稚園の卒園者への確認回答者の100%

「附属幼稚園があってよかった」と回答しました。回答者数は、本人の特定を避けるため非公開とします。

受入れ実績 161人私立幼稚園が多数の要配慮児を受け入れている事実を示します。すべての子どもが希望園へ入れることまでは示しません。
91.2%(要配慮児保護者68人)保護者から見て、子どもが楽しみに通う・楽しんでいるという回答です。支援の質、必要支援の充足、市内全体の受皿を直接測る設問ではありません。
96.2%(回答者全体534人)在園して回答できた家庭の肯定的経験です。入園できなかった家庭、相談前に断念した家庭、退園・転園した家庭は原則として入りません。
受入れ困難なし(相談13件)センターが把握した相談経路内の結果です。市内私立園への直接相談を含む全件調査ではありません。
独自調査の30人障害のある子どもの保護者の中に、公立幼稚園を必要とする強い需要があることを示します。一方、無作為抽出ではないため、流山市全体の割合へそのまま一般化はできません。
卒園者への確認実際に利用した人が附属幼稚園の存在を肯定していることを示します。回答者数を非公開とする以上、割合の精度や代表性を外部から検証することはできません。
現在の調査から抜けている人不合格・受入れ保留、相談前の断念、入園後の退園・転園、短時間・限定参加、必要な支援が満たされなかった家庭は集計に入っていません。

なぜ独自調査も掲載するのかこの独自調査だけで「市民のほぼ全員が公立幼稚園を望んでいる」とは言いません。同じように、市も、現在私立園に通えている家庭の満足度や、センターに届いた13件だけから「市内の受皿は十分」とは言えません。どちらも対象が限られた調査であり、市全体へ一般化する際には同じ弱点があります。市が自らの限定調査を廃園の根拠として使う一方で、30人の保護者と卒園者の声だけを「一部の声」として退けるなら、証拠の扱いが一貫しません。公平な結論は、両方を限定された範囲の証拠として並べた上で、入園できなかった人、断念した人、3年保育なら利用したい人まで含む調査を市が行うことです。

独自調査の実施日、募集方法、質問文、個別回答はこのページでは公開していません。卒園者の回答者数も非公開です。そのため、統計的な代表調査ではなく、行政調査からこぼれた需要と経験が実在することを示す聞き取りとして掲載しています。

1行政が示した五つの証拠は、別々の問いに答えている受入れ人数、補助金、アンケート、成功事例、相談13件を混ぜない
受入れ人数161人私立幼稚園が要配慮児を多数在籍させていることを示します。希望者総数、不成立数、支援時間、退園・転園を示す数字ではありません。
受入れ支援補助金人員配置などを後押しした可能性があります。補助を受ければ、すべての障害特性や医療的・行動上のニーズへ対応できるという証明ではありません。
91.2%・96.2%現在在園し回答した保護者から見て、子どもが園を楽しみにしているという結果です。入園前の受入れ、合理的配慮、支援量、保護者満足を直接測っていません。
一件の成功ヒアリング私立園で良い園生活を送れた事例が存在することを示します。全園で再現できること、成功率、最大受入れ能力は示しません。
センター相談13件センターが把握した相談経路の結果です。園への直接相談、相談前の断念、退園・転園、市外園への移動を含む市内全体の調査ではありません。

混ぜると何が起きるか「多数在園している」「子どもが楽しそう」「良い一事例がある」「センターで不成立を把握していない」を重ねても、「希望する全員が入り、必要な支援を継続して受けられ、公立の最終受皿をなくしても安全」という結論にはなりません。

291.2%が測ったものと、測っていないもの「子どもが楽しい」から「支援が十分」へ飛躍していないか

資料の設問は「お子様は幼稚園を楽しみにしていますか」に近い内容です。直接分かるのは、保護者から見て、現在在園中の子どもが園を楽しみにしているかという点です。

子どもが楽しそう → 適切な支援が十分 → 保護者が十分満足 → 公立廃園後も問題ない

「子どもが楽しく通っている」という一問では、入園前の受入れやすさ、加配人数、情報共有、療育・医療との連携、通園時間、行事・給食・排せつ・移動への配慮、就労継続、退園圧力、卒園までの継続見込みは測れません。それでも支援全体への満足と読み替えている点が問題です。

また、アンケートは現在私立幼稚園に通えている保護者が対象です。希望したが入園できなかった家庭、面談で難しいと感じ申込み前に断念した家庭、別の場を勧められた家庭、退園・転園した家庭、通園日数や行事参加を制限された家庭は外れる可能性があります。

要配慮児68人の91.2%が肯定的なら、単純計算では約6人が肯定的ではありません。しかも、対象者総数、回答率、未回答者の状況が示されていないため、91.2%が要配慮児家庭全体を表すとは言えません。少数側の困りごとも扱わず、この数字を「受皿は十分」という結論へ広げていることが問題です。

3161人という分子だけでは、受入れ率は出せない希望者総数、不成立、継続状況という分母がない
受入れ率 = 希望どおり私立幼稚園へ入園できた要配慮児数 ÷ 私立幼稚園への入園を希望した要配慮児総数

161人からは、希望者に対する受入れ率、希望したが入れなかった人数、園別の偏り、障害特性別の対応範囲、週何日・何時間通えたか、加配時間と資格、保護者負担、退園・転園、翌年度の継続可能性は分かりません。

一件の成功ヒアリングは、柔軟な参加方法と友人関係により良い園生活を送れた可能性を示す重要な質的資料です。ただし、同じ方法で困難例、不成立例、退園例も集めなければ、成功率や制度全体の安全性は評価できません。

安全網として問う数字入園できた後の継続率、希望時間充足率、合理的配慮の実施率、退園・転園率、希望園へ入れなかった場合に最終的な教育の場を確保できた割合です。

4過去の不受入れ説明と「困難なし」は、そのままでは両立しないセンターが把握した相談だけを、市内全体へ広げている

令和6年10月のタウンミーティングでは、他の民間園に断られて附属園へ入った事例、明確な拒否ではないものの私立では難しいと判断され附属園が受け入れた事例、過去に要配慮児を受け入れていない園や人数制限をしていた園、近くに受入れ園がなく断念した人がいる可能性が説明されています。

その後、補助金、覚書、就園相談などが整備され、センターに届いた13件で最終的な受入れ困難を把握していないのであれば、それは改善実績として評価できます。しかし、市内全体の不成立、断念、退園・転園まで調べたことにはなりません。

行政が言える最大限の正確な文章幼児教育支援センターが把握した限定的な就園相談案件では、私立幼稚園への入園を希望した相談者について、同センターが最終的に受入れ困難と分類した事例を把握していない。ただし、市内私立園への直接相談、相談前の断念、入園後の退園・転園などを網羅した調査ではない。

5現在の調査から抜け落ちている五つの視点通えている家庭だけでは、安全網の全体像は分からない

調査A 私立園へのアクセス

就園前、在園、退園・転園、療育利用家庭を対象に、希望園、相談園数、入園可否、条件、申込み前の断念、通園時間、併行通園、退園理由を調べる。

調査B 全私立園の実績

相談、申込み、受入れ、不成立、困難理由、加配、資格、施設、障害特性別の対応範囲、退園・転園を匿名集計する。

調査C 保護者満足度

子どもの楽しさだけでなく、入園相談、合理的配慮、職員体制、意思疎通、療育連携、就労両立、行事参加、継続見込みを別々に測る。

調査D 公立の潜在需要

3年保育、週5回給食、送迎、預かり、要配慮児支援の具体的条件を示し、現在条件と改善後条件を分けて利用意向を測る。

調査E 追跡調査

入園時だけでなく、半年後、年度末、卒園時に、通園継続、支援内容、保護者負担、教育成果を確認する。

→ 現在の調査では、市内全体の受皿を判断できない調査に答えた在園者と、センターへ届いた13件だけを見ても、入園できなかった家庭、相談前に諦めた家庭、退園・転園した家庭は見えません。見えていない人を調査対象から外したまま、「受入れ困難はない」と結論づけています。

委員会全体

行政答弁に残った12の問題

個別発言への反論ではなく、政策形成と審査手続に共通する問題を整理します。

1 結論を先に決め、後から根拠を集めている三年保育、給食、送迎、他市比較、アンケートなど、本来は廃園方針を決める前に比べる内容が、条例提出後の継続審査で追加されました。
2 当日示した7ページを、限られた質問数で審査させている新しい数字や説明を当日に出しながら、委員は原則3問という制約の中で審査しました。不可逆的な廃園を判断する手続として不十分です。
3 廃園理由を入れ替えながら、結論だけを維持している当初は園児数と運営費、その後は園児数、今回は適正規模が最大理由になりました。判断基準が動いても廃園だけが変わらない構造です。
4 研究に書かれていない線引きを、廃園理由にしている研究上の「望ましい人数」を、「その人数未満では目指す教育ができない」という市独自の基準へ置き換えています。
5 市が使いにくくした結果を、需要不足として扱っている二年保育、給食なし、送迎なしを長年維持したまま、条件改善後の需要を試さず、現在の少ない人数を廃園理由にしています。
6 現実的な小規模案を比べず、高額な案を前面に出している直営調理場など最大規模の案を強調する一方、弁当給食、既存室の活用、限定送迎といった小さく始める案を同じ条件で比較していません。
7 「1人425万4,000円」を、廃園で浮く金額のように扱っているこれは予算総額を12人で割った平均です。建物や支援センターに残る費用、新たに増える支援費を差し引いた削減額ではありません。
8 条件の違う他市の結果を、流山市の将来へ当てはめている就学前人口、給食、送迎、公私立園の構成が違う自治体で園児が減ったことから、流山市でも改善効果がないと結論づけています。
9 現在通えている家庭だけを見て、「困っている人はいない」としている在園者アンケートとセンター相談13件には、入園できなかった人、相談前に諦めた人、退園・転園した人が含まれていません。
10 代替策が未完成なのに、「廃園しても問題ない」としている心理士と職員増は予算要望、施設活用は予定段階で、部長も仕組みは100%ではないと認めています。
11 未決の施設活用を、決まった話のように説明した条例案がまだ審査中なのに、廃園後の施設利用を「決定」と答弁し、指摘を受けて「予定」へ訂正しました。
12 市自身が改善しなかった責任を検証せず、廃園で終わらせようとしている三年保育などを採用しなかった判断と低利用の関係を検証しないまま、施設の廃止だけを進めています。
詳しく12の問題が、廃園判断にどう影響するのか起きていることと、なぜおかしいのかを分けて読む
問題実際に起きていることなぜおかしいのか
1 結論が先、比較が後令和5年に廃園方針を出し、令和8年の条例提出後に三年保育、給食、送迎、他市比較、アンケートを詳しく整理しました。選択肢を比べて廃園を選んだのではなく、廃園という結論を守るために理由を後から足した形です。当初判断の正当性が崩れています。
2 審査時間が足りない7ページの新資料が当日に示され、委員は原則3問の中で数字と前提を確認しました。説明の矛盾や計算根拠を再質問できず、議会が行政判断を十分に点検できません。廃園のような不可逆の判断に見合う審査ではありません。
3 理由が動き続ける園児数と運営費、お金より園児数、適正規模が最大理由という順に、説明の中心が移っています。廃園となる条件が固定されていないため、どの反証が出ても別の理由で結論を維持できます。検証可能な行政判断になっていません。
4 研究の過大解釈教員が望ましいと考える集団規模を、一定人数未満では目指す教育ができないという線引きに使っています。研究は教育不能の下限を定めておらず、市も法的拘束力がないと認めています。研究の結論を超えた廃園理由です。
5 市が作った低利用二年保育、給食なし、送迎なしを維持し、三年保育などを試さないまま現在の12人を需要の上限として扱っています。利用しにくい条件を作った側が、その結果を施設の不要性へ置き換えています。行政自身の制度設計の影響が切り離されています。
6 高額案だけが目立つ5億4,000万円の直営調理場などを示す一方、弁当給食、部分改修、限定送迎を同じ期間と人数で比べていません。最も高い案を改善策全体の費用のように見せると、現実には実施できる小規模案まで不可能に見えてしまいます。
7 平均と削減額の混同5,104万2,000円を12人で割った425万4,000円を強調していますが、廃園後も建物と支援センターの費用は残ります。平均額は廃園で浮く金額ではありません。残る費用と新たな支援費を含まない数字で財政負担を判断させています。
8 他市比較からの飛躍総人口が近い浦安市・習志野市の園児減少を、流山市でも条件改善の効果がない根拠にしています。対象年齢人口や制度条件が違うため、他市の結果から流山市の需要は予測できません。比較が結論を支えていません。
9 調査から外れた人がいる現在通えている保護者の回答と、センターが把握した13件を中心に受入れ状況を評価しています。入園できなかった人や諦めた人を最初から数えずに、「受入れ困難はない」としています。調査範囲より結論を広げています。
10 代替策が未完成心理士、職員増、施設活用は予算・人員・開始時期が固まっておらず、部長も100%の仕組みではないと答えています。これから作る仕組みを、すでに公立園を代替できる根拠として使っています。失敗した場合に戻せない廃園を先行させる順序が逆です。
11 「決定」答弁の撤回条例案が未決の段階で施設活用を「決定」と説明し、議会から指摘されて「予定」へ訂正しました。まだ決まっていない将来像を、廃園後の安心材料として示したことになります。議会審査より行政の予定が先に進んでいます。
12 行政責任が抜けている三年保育、給食、送迎などを長年実施しなかった判断と、園児減少の関係を評価していません。市自身の判断で低利用を招いた可能性を検証せず、廃園だけで終われば、同じ失敗を別の公共施設で繰り返します。

問題は説明量ではなく、意思決定の構造資料が増えても、判断基準、証拠の範囲、代替策の実証、純財政効果、失敗時の責任がつながらなければ、廃園という不可逆な結論を支える一つの論証にはなりません。

1現在の12人は、行政が設計した条件下の人数利用者数を、そのまま公立幼稚園への需要とはみなせない

現在の附属幼稚園の園児数が少ないことは事実です。しかし、附属幼稚園は長期間にわたり、4歳・5歳の2年保育、日常的な給食なし、送迎バスなし、認定こども園化なし、共働き家庭が利用しにくい時間と条件で運営されてきました。

利用者数は、施設への潜在的な需要だけでなく、行政が決めた利用条件の結果でもあります。現代の家庭が利用しにくい条件を維持し、その結果として利用者が減り、その利用者減少を廃園理由にするのであれば、先に「なぜ条件を改善しなかったのか」を検証しなければなりません。

観測された園児数 = 公立幼稚園教育への潜在需要 × 2年保育・給食・送迎・開園時間・通園距離・募集状況などの利用条件

市が示した「12人」は、この掛け合わせの最終結果です。3年保育、週5回の給食、送迎ありという条件を提示した意向調査、実際の条件付き募集、1年または2年の試行、問合せと辞退理由の集計、通園圏の分析は行われていません。各制約を外した場合の人数を測らずに、「どの対策をしても増えない」と結論づけることはできません。

想定園児数5,104万2,000円を単純に割った場合
現在12人1人約425万4,000円
3年保育・2学年がそろう段階40人1人約127万6,100円
3年保育・1学年20人、3学年60人1人約85万700円

この表の意味毎年20人が必ず集まると断定するものではありません。この園の上限を60人と見たうえで、毎年20人を募集し、3学年がそろうまでの推移と、追加職員、給食、送迎などを含めた費用を比べるべきだということです。

2三年保育を実施しなかった過去の判断後から出た思いつきではなく、園舎建替え時からの提案だった可能性

8月7日の参考人質疑で元園長は、耐震工事による園舎建替えの際に3歳児保育を提案し、人数を限定すれば私立園を脅かさないとも説明したが認められなかったこと、隣接保育所との認定こども園化も提案したこと、バスも導入されず従来方式で運営したことを証言しています。

元園長の記憶だけで当時の経緯を断定はできません。しかし、この証言がある以上、3年保育を令和8年になって初めて検討した選択肢のように扱うこともできません。現場から改善案が出ていたのに採用されず、従来の利用しにくい条件が続いた可能性があり、現在の低利用を市と無関係な需要減少として扱う説明は不十分です。

市が3歳児20人前後、4・5歳児21~30人を教育上必要な規模と考えるのであれば、本来の順序は次のとおりです。

  1. 3年保育を可能にする最小案を設計する。
  2. 条件と募集人数を公表し、実際に募集する。
  3. 給食・送迎などを段階的に導入する。
  4. 実際に何人集まるかを確認する。
  5. 教育成果と費用を評価する。
  6. それでも成立しない場合に廃園を再検討する。

現在の順序1~5を十分に実施しないまま、6の廃園を先に選んでいます。適正規模を最大の理由にするなら、適正規模へ近づけるための3年保育をなぜ試さなかったのか、その判断者と根拠を説明する責任があります。

3改善しないほど廃園理由が強くなる構造行政が作った利用制約を、施設の自然な失敗として扱っていないか
  1. 2年保育、給食なし、送迎なしという利用しにくい条件を維持する。
  2. 利用者が減る。
  3. 園児1人当たりの平均費用が上がる。
  4. 小規模化して、市がいう適正規模を満たさなくなる。
  5. 改善策は費用がかかり、効果が不明だとして実施しない。
  6. 低利用、高い平均費用、適正規模未達を理由に廃園する。

この流れでは、行政が改善しないほど廃園理由が強くなります。利用条件を決めた側の判断を検証せず、利用者の減少だけを外部環境として扱えば、政策の失敗を施設の不要性へ置き換えることができてしまいます。

→ 政策の失敗を、施設の失敗へ置き換えている建替え時の需要予測、利用者減少の原因、改善案を採用しなかった判断、小規模化した時点での見直しが評価されていません。市の判断を検証しないまま、結果だけを廃園理由にしています。

これを検証せずに廃園だけで終われば、ほかの公共施設でも、利用しにくい状態を放置し、利用者減少を理由に廃止する同じ構造が繰り返されます。

4行政責任は、個人を処罰することだけではない説明・検証・是正・組織・財政・結果の6つの責任

問うべきなのは、特定の職員を感情的に責めることではありません。誰がどの情報で判断し、その結果をどう評価し、誤りや不足が判明したときに組織としてどう直すのかです。最低限、次の責任があります。

説明責任

誰が、いつ、何を根拠に決めたのかが一貫して説明されていません。

検証責任

二年保育を維持し、三年保育・給食・送迎を採用しなかった判断の事後評価がありません。

是正責任

前提の不足が明らかになっても、結論を白紙に戻さず、廃園理由だけを追加しています。

組織責任

判断の誤りを次の政策へ生かす仕組みや、同じ失敗を防ぐ手順が見えません。

財政責任

廃園で本当に減る純額と、廃園後も残る費用・新たに増える費用が分けられていません。

結果責任

廃園後に受入れ困難や支援の後退が起きた場合の戻り道が決まっていません。

廃止するだけでは責任を取ったことにならない行政が現在の運営を教育上・財政上の失敗と評価するなら、失敗の原因を分解し、組織として学習し、次の政策へ反映させなければなりません。

5比較的新しい園舎を低利用にした公共資産管理建物を残すだけでは、投資後の政策評価にならない

附属幼稚園は、北部地域でも比較的新しい公共施設と説明されています。しかし、建替え後の運営と利用状況について、次の評価が抜けています。

  1. 建替え時の需要予測と、実際の園児数の差が評価されていない。
  2. 二年保育を前提に設計・運営し続けた判断が検証されていない。
  3. 三年保育へ転換できる設計を想定していたかが不明なまま、改修費だけが示されている。
  4. ホールを優先し、教室、調理、送迎を整えなかった設計判断が評価されていない。
  5. 利用率低下を把握した後に、どの改善策を実施したかが説明されていない。
  6. 施設整備時に掲げた政策目的を達成できたかという事後評価がない。
  7. 別用途へ変えることで失われる幼児教育機能が費用評価から抜けている。

過去に建設費を投じたことだけで、将来も幼稚園を続けるべきだとは言えません。しかし、整備後の運営設計を誤り、利用低下後も改善せず、低利用になったのであれば、行政の資産管理と政策評価の問題です。

「建物を残すから損失はない」わけではない幼児教育のために整備した資産を別用途へ変えることで失われる機能、改修費、新用途での利用効率が評価されていません。建物が残るという説明だけでは、幼児教育のために投じた資産の損失を否定できません。

6廃園は不可逆、代替策は未完成元に戻しにくい判断を、これから整える施策より先に確定してよいか

心理士派遣、支援センターの職員増、研修、相談事業は、予算や人員に応じて拡充・縮小できます。一方、附属幼稚園の廃園、職員配置の解体、募集停止は、元に戻すことが非常に難しい判断です。

行政は、心理士や職員増を「令和9年度の予算要望」、施設活用を「予定」、支援体制を「今後強化」と説明しながら、不可逆的な廃園を先に決めようとしています。南学校教育部長がシステムは100%ではないと認めた段階で、「廃園しても問題ない」とするのは、リスク管理の順序が逆です。

  1. 代替体制を先に稼働させる。
  2. 私立園で受け入れられない場合の最終保障を試す。
  3. 支援センターの人員と機能を実績で評価する。
  4. 3年保育、給食、送迎などの改善効果を検証する。
  5. その後に、不可逆的な廃園を判断する。

失敗時の戻り道が示されていない受入れ困難や相談漏れが発生した場合、どの数値で問題を認定し、誰がいつ是正し、必要なら公立の受皿をどう復元するのかが決まっていません。

7廃園判断までに抜けている12の手順比較、試行、全体調査、代替体制の確定が行われていない
  1. 廃園理由と各理由の重みが、一つの判断基準に固定されていない。
  2. 令和5年から令和8年まで、理由がどう変わったかを踏まえた再判断がない。
  3. 三年保育、給食、送迎の小規模な実行案が作られていない。
  4. 条件を改善した需要調査や、実際の募集が行われていない。
  5. 初年度20人、2年目40人、三学年60人という現実的な人数別試算が行政説明にない。
  6. 廃園で消える費用、残る費用、増える費用を分けた純削減額がない。
  7. 相談前の断念、入園不成立、退園・転園を含む市内全体の調査がない。
  8. 代替体制の予算、人員、責任部署、最終保障が確定していない。
  9. 支援センターの機能拡充を先に動かし、成果を確かめていない。
  10. 附属幼稚園の実践と地域グループ方式の成果を比較していない。
  11. 園舎建替え以降の政策判断を、行政から独立した立場で検証していない。
  12. 追加資料を事前に読める状態で、市民と議会が再検討する手続を取っていない。

→ 結論この12の手順を飛ばしたままでは、廃園が比較検討の結果なのか、最初から決まっていた結論なのかを区別できません。8月19日の答弁は、この疑問を解消していません。

結論よく示される説明では、廃園の妥当性を証明できない説明と結論の間に、埋まっていない飛躍がある

「理由は変わらず、複数ある」

複数の理由があること自体を問題にしているのではありません。最大理由、判断の基準、各理由の重みが分からなければ、何を満たせば存続し、何が不足すれば廃園なのかを市民は確かめられません。

「三年保育などには費用がかかる」

直営調理場のような最大規模の案だけが強調され、弁当給食、既存室の活用、段階改修、限定送迎などの現実的な案が同じ条件で比較されていません。

「私立園には空きがあり、要配慮児も受け入れている」

総定員に空きがあることと、一人ひとりの障害特性、支援量、通園距離、保護者の就労条件に合う枠が実際にあることは別です。申込み、不成立、断念、退園、転園を数えていないため、私立園だけで最終的な受皿を確保できるとは言えません。

「少人数では集団経験が不足する」

集団経験が重要であることと、21人未満では教育が成立しないことは同じではありません。合同活動、異年齢交流、他園との交流を含む代替案や現在の教育成果を比べておらず、少人数を理由に廃園する根拠になっていません。

「建物と支援センターは残る」

建物が残ることと、実践園、幼稚園教員、日常的な観察、研究環境、公立の最終的な受皿が残ることは別です。施設用途も予定段階で、機能ごとの引継ぎもないため、代替できたとは言えません。

総括本件で問われている行政ガバナンス意思決定、実施、評価、是正という政策サイクルが機能しているか

流山市は、3年保育、給食、送迎、認定こども園化などを実施しないまま園児減少を進行させた経緯を評価していません。現在の12人は、現代化した公立幼稚園への需要ではなく、行政が維持した条件の下で利用できた人数です。

行政は現在の運営を「適正規模を満たせず、目指す教育ができない状態」と評価しています。しかし、三年保育などを採用しなかった過去の判断も、低利用になった後に見直さなかった責任も評価していません。「利用者が少ないからやめる」だけでは、税金を使った政策の検証になりません。

さらに、廃園後の心理士、職員増、支援体制、施設活用は未完成です。完成していない代替策を根拠に、元へ戻しにくい廃園だけを先に決めることは、行政のリスク管理として逆です。

行政責任として問われていること本件で問われているのは、幼稚園一園を残すかどうかだけではありません。流山市が、自らの政策判断を検証し、責任の所在を記録で示し、必要な是正を行ったうえで次の判断へ進める行政組織なのかどうかです。

根拠資料

本文と照合した主な資料

8月19日、8月7日、6月17日、7月16日の書き起こしは非公式記録です。公式会議録公開後に表記と引用を照合します。

判断と根拠の順序を確かめる